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街路樹の剪定のこと [緑]

ヨーロッパに行くと街路樹や住宅の庭の樹木がとても立派で樹齢の長い木が多く、
のびのびと枝を伸ばし緑を生い茂らせていてとても豊かな気持ちになる。
ヘンデルの有名なアリアに「オンブラ・マイ・フ」(Ombra mai fù)という歌がある。
80年代、ニッカウヰスキーのCMをきっかけに、クラシックでは珍しくヒットした歌曲だ。
メロディからは恋愛をうたうものかのように聴こえるが、以下の歌詞のようにプラタナスの木陰を
愛でる歌である。

 こんな木陰は 
 今まで決してなかった
 緑の木陰
 親しく、そして愛らしい、
 よりやさしい木陰は

http://www.youtube.com/watch?v=5rBEcokvsF0 (Kathleen Battle)
http://www.youtube.com/watch?v=V9-LBIGenJo (Sara Mingardo)
(有名なキャスリーン・バトルより、アルトのSara Mingardo のほうが訴求力があり  
 感動的だと思うが)



さて、ヨーロッパの街路樹に比べると日本の街路樹はなんと貧相なのでしょうか。
季節ごとに剪定を受けて、ほとんど丸坊主状態になっている。
写真の木はなんでしょう?実は芦屋市内の国道2号線のイチョウです。
IMG_0718.jpg

イチョウは、円錐状に細い枝を延ばす姿がすがすがしく秋には美しく色づく。
そのイチョウをこれほど刈り込んでしまっているのである。まるで「てんぼう」状態だ。
推測するに、秋の落ち葉や銀杏が嫌われたのだろうと思う。
御堂筋や八王子の銀杏並木は、もう既に堂々たる評価がありますから、むやみに
切り取るわけにはいかないのでしょうが一般国道は悲惨です。

ここでヨーロッパと日本の剪定の違いを調べてみた。

http://www.pref.nara.jp/secure/73723/68-2267.pdf

この文献のまとめによれば、「日本の街路樹管理では、電線により樹高が抑えられ 極端な強剪定が毎年くり返されている」とのことである。
「地域によっては1年の半部以上の期間、枝が切り取られて棒状態の街路樹もある。 これでは何のための街路樹かわからない」 とあってその通りだと思う。

欧米先進国では市街地の配電線のほとんど地中配電線路となって埋設されている。
台風や地震の多い日本では地中配電線の方が信頼性が高いが、電力会社は、
いまだに配電線の地中化をしようとしない。

先の文献では、「美しい街路樹には、落ち葉処理を筆頭とした我々住民のみどりへの 管理意識、参加意識が最も必要なのではないだろうか」 とまとめられてあり、
実にその通りだと思います。
おおきな樹は我々の財産です。
わたしは、いまだに芦屋の旧イタリアーノ入口にあって素晴らしい木陰を作ってくれていた
いまは亡き巨大な2本のポプラを懐かしく、また悲しく思うのである。

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