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未完のフーガの後の静寂は? [静けさ]

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その日のプログラムは完璧であった.
前半のひと組は,バッハ晩年の作品「音楽の捧げもの」BWV1079から重厚な6声のリチェルカーレに連続してバッハ若き日の作品パルティータ「喜び迎えん,慈しみ深きイエスよ」BWV768を配した.同じく前半のもうひと組は鏡のような構成で,同じくバッハ晩年の「フーガの技法」から未完の四重フーガBWV1080-19に,失明したバッハが友人に口述筆記させた,いわばほんとうの絶筆であるコラール「汝の御座の前にわれはいま進み出で」BWV668を配した.
いうまでもなく未完のフーガの最後の音符のあとに続く深遠で崇高な静寂を感じたのち,オマージュとでもいうべき穏やかなコラールでバッハの終焉に思いをはせようとの意図であろう.国立音大の礒山先生によっても親切に事前に同様な解説がなされていた.
しかし,フーガの技法の終音の直後にたったひとり拍手をしたバカがいたのである.
演奏者への間をおかない拍手による賛辞は,この日最後のプログラムであるパッサカリア ハ短調BWV582で用意されていたにもかかわらず.

いまはなき盲目のオルガニスト,ヘルムート・ヴァルヒャの演奏を推奨します.



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